全員が受付を終え、ストレッチをして出発の準備を整えると、坪井CLが『六甲全山縦走、いくぞぉー』と叫ぶと、皆で『オー』と3回応えて気合を入れると、1班から勢いよくスタートを切り飛び出して行った。これ以降、1班の姿を見ることは殆どなかった。 歩き出すと、標高200mほどの鉢伏山まで、いきなりのやや急な登りとなったが、この標高差であれば、三浦で十分にトレーニングを積んできた範囲であり問題はなかった。 次に、かつては旗振通信をしていた場所として明石海峡大橋が望める旗振山(252.6m)、急な階段を上って栂尾山(274m)、横尾山(312.1m)と進んでいくと、両サイドが崖になってスコンと切れている「馬の背(須磨アルプス)」が出現する。写真で見るとよく分からなかったが、歩く場所は地面が削れてやや低くなった細い道なので、それほど危険は感じなかったものの、雨や風の強い日には注意が必要だと感じた。 |
高取山(312m)を過ぎて、丸山市街地では、一緒に歩いて頂いた明昭山の会の方のおかげで道に迷うことなく通過することができた。 鵯(ひよどり)越(ごえ)駅の横を通りしばらく進むと、最初のチェックポイント「菊水山下」で、9時41分にチェックを受ける。この先が、いよいよ本日の最初の難関となる菊水山(458.8m)の急峻な登りで、NTTの無線中継所のある頂上をひたすら目指した。3班メンバーのHMが途中で足を攣ったが大したダメージではなく、全員が順調に頂上に到着した。 頂上では、明昭山の会のサポートの方々により、ポカリスエットやリンゴ、グレープフルーツ、トマト、ブドウ、塩などの沢山の差し入れがあり、メンバー全員が冬眠前のクマのようにひたすら飲みまくり食べまくった。本当に有難い差入れだった。本大会の主催者である兵庫県勤労者山岳連盟(労山)の方々からも、バナナの差し入れがあったが、こちらも食べ放題と勘違いして、複数本をわし掴みにしようとしたら注意され、一人分であるバナナ半分をその場で頂いた。 |
一息ついて元気になり菊水山を下り、有馬街道にかかる天王吊橋を渡り、本日二つ目の難関で、その名前の通り鍋蓋を閉じたような山容の鍋蓋山(486m)に向かった。菊水山は階段が多かったが、一般的な登山道の様相である鍋蓋山を越えると、次のチェックポイントの「大竜寺前」に着き、12時ちょうどにチェックを受けた。チェックポイントでは、「参加カード」にあるポイントの該当箇所を主催者の担当者が切り取るのでそのまま渡し、通過時刻を記入して貰うことで完了する。 ここでも主催者からの差入れがあり、頂いた紙パックのジュース1本を一気に飲み干した。 ふと見ると、2班にいたはずのSTがどこからともなく現れたので皆が事情を聞くと、2班のスピードが速すぎて、「大竜寺前」のチェックポイントに着く前に、2班から離脱して3班に吸収されようと待っていたとのこと。 我々の到着を待っている間に十分な休憩を取り、すっかり元気になっていたSTを含め、3班は8名となって、三つ目で本日最後の難関である摩耶山(698.6m)を目指した。 体力は回復し元気になっていたSTであったが、途中の急登で足を攣る事態になった。幸い応急措置により、その後は問題なく歩き通すことができた。 |
広々とした河原の市ケ原を過ぎると、標高差450mを超える急な登りとなり、岩だらけの天狗道を抜け、日本三大夜景の一つと言われる摩耶山に到着した。 山中を走るケーブル・ロープウェーや車で山頂まで登ってきたであろう一般の観光客を横目に見ながら、ゆっくりと景色を楽しむ余裕もなく、次のチェックポイントのある一軒茶屋を目指す。 アスファルトのドライブウエイを歩くと、やや単調な歩きに意識が朦朧としてきたり、足の裏が痛くなってくるが、摩耶山を超えてここまで来れば、あとは完走するしかないとの気持ちで、皆が黙々と歩く。 最後のチェックポイント「六甲最高峰下」に16時27分に到着すると、再び、明昭山の会のサポートの方々により、暖かいコーヒーと紅茶、バナナ、シュークリーム、チョコレート、アメ等の差し入れがあった。やや肌寒くなり、疲れも出てきた体には、暖かい飲み物と甘い食べ物は胃袋に沁み渡り、非常に有難かった。 チェックポイントにいた大阪弁のおじさんが、『明日も六甲登るのとちゃうねんか?』としきりにボケていましたが、疲れていたうえに、せっかくの関西のボケに対しても、慣れていない我々は上手いツッコミが出来なかったのが、心残りでした。 時間制限もあり、六甲山最高峰(931.1m)には行かなかったので、最後のチェックポイント「六甲最高峰下」からは下りが中心で、残りの行程はちょうど3時間の予定。あと1時間半ほどでゴールかと勘違いしていたメンバーは、あと3時間と聞き、ややショックを受けていた。時間は途中で日が暮れることになるので、全員がヘッドライトをすぐに取り出せるように準備した。 |
ここからは、下りが中心の登山道ではあったが、暗くなった18時頃から天気予報通り雨が降り出したので、雨具とヘッドライトを装備し、足元に気を付けながらゴールを目指した。時折、宝塚の街の明かりが木々の間から見えるようになり、ゴールの塩尾寺が近いことが分かる。19時くらいになった時に、1班の長島リーダーが心配して途中まで迎えに来て頂いていたので、固い握手をして完走が目前に迫っていることを喜びあった。 |
まもなくゴール! |
1班ゴール |
2班ゴール |
3班ゴール |
みろくお揃いの帽子 | 完走証 | 第50回記念大会てぬぐい |