赤木沢~黒部川源流を訪ねる 
日時・天候・ランク 
7月28日(火)~8月1日(土)  曇り・雨/快晴  D-D-10  参加者 4名

 

  コースタイム 

 

7月29日(水)  天候 晴れ

有峰ハウス5:30=折立5:55…7:30三角点7:40…9:06五光石9:20…10:08太郎平小屋

10:52…13:18薬師沢小屋

          行動時間 7時間23分   歩行時間 5時間45分


7月30日(木)  天候 曇り時々雨

小屋5:30…7:40赤木沢出合…9:30大滝下9:40…9:50大滝上…10:36二俣(2255M)…

11:12中俣乗越12:00…13:45黒部五郎の肩…14:00黒部五郎岳14:05…14:15肩…

14:40カール(2605M)14:48…16:06黒部五郎小屋

          行動時間 10時間16分  歩行時間 8時間13分

7月31日(金)  天候 快晴

小屋5:30…7:00トラバース道分岐…8:08三俣蓮華小屋8:25…9:00黒部川源流碑9:05…

9:08入渓点(沢装備・入渓)9:35…10:32左岸よりの沢出合10:40…11:40祖父沢出合

12:07…12:50五郎沢出合…14:30赤木沢出合…16:20薬師沢小屋

          行動時間 10時間50分  歩行時間8時間55分


8月1日(土)  天候 快晴

小屋6:00…8:40太郎平小屋9:10…11:00三角点…12:00折立

          行動時間 6時間  歩行時間 5時間30分

 
報告事項 
 ・ 有峰ハウス(有峰森林文化村内)に前泊

 ・ 折立の駐車場至近にキャンプスペースあり。炊事棟・トイレ完備

 ・ 有峰林道(有料/小型車1900円)は、20:00~06:00間が通行禁止。
 
  

 

 

北アルプスは白馬岳から南下する山脈と剣岳から南下する山脈とがあり、その交わる点が三俣蓮華岳近辺で、 そこからひとつになった山脈は槍・穂高へと続く。この二つの山脈の真中を流れるのが黒部川で、鷲羽岳の側の岩苔乗越から流下して上の廊下、黒四ダム、下の 廊下を経て日本海に注ぐ。黒四ダムから下流の下の廊下は秋口になって雪渓が消えないと通れない難路ではあるが、基本的には登山道があり、条件さえ整えば割 合容易に通過できる。

 一方上流は東沢出合までは登山道はあるが、そこから道は川から離れて読売新道を経て赤牛岳に登ってしまう。あくまで沢を遡ろうとすると東沢出合からは上の廊下という完全な沢登りの世界になってしまう。みろく山の会では2010年、私も含めて6人のメンバーで挑戦して渓中2ビバークで突破することができた。このルートは国内の沢登りのルートとしては上級に属しており、平均年齢61歳(当時)のパーティーとしては、自慢できる内容のものであった。

 ただ、このルートはその核心部を過ぎるとやがて薬師沢小屋から高天原への登山道にぶつかるため、通常沢登りはここまでというのが常識となっている。我々も薬師沢小屋から太郎平を経て有峰湖へ下山した。

 しかし、上の廊下は本当に素晴らしかったが、結局は黒部川の一部を遡行したにすぎず、やはりその水源まで登りつめたいという思いは残った。この夏、当時のメンバー3名と新たに1名の4名で上の廊下より上部を歩く事ができたので報告したい。


 728日 有峰湖の登山口である折立で宿泊。

729日 太郎平を経て薬師沢小屋に宿泊。

730日 曇りで時々雨がパラつく天気であったが、黒部川を上流に向って遡行、支流の赤木沢に入った。赤木沢は黒部の支流の中では美渓の名が高く、比較的容易なため多くの遡行者を迎える。みろく山の会でも毎年のように山行が組まれている。今年は7月に台風が多く、黒部川の水量は上の廊下のときよりかなり多かったが、それでも順調に登り、中俣乗越には予定の時間で到着した。ここから黒部五郎岳を経て黒部五郎乗越小屋に宿泊した。

731日、大快晴のもと、三俣蓮華小屋まで歩き、 ここから黒部川へ下る。ここに「黒部川水源地」の石碑があり、一応の公式な水源地である。ここで沢道具の準備をして黒部川源流の下降を開始する。今年は雪 渓も多く、200mくらい雪渓を下るところもあったが、多くは崩れかかっており、草付きを高巻いて下った。雪渓が無くなると後は渡渉を繰り返して下降を続 ける。空には雲ひとつ無い大快晴で、滴るばかりの緑と透明な水流に酔いしれる。結局4時間半ほど下ると赤木沢の出合の滝の上に出た。ここは左岸から滝を巻いて下り、赤木沢の合流点を腰上の深さの渡渉で突破した。ここからは前日に通過したところなので、後は慎重に下るだけ。薬師沢小屋には1620分に到着。早速祝杯を上げた。11時間の行動時間であった。特別技術的に困難な所はなかったが、総合的な登山の力がいる場所と言えるだろう。

81日はもと来た道を帰るだけ。素晴らしい大快晴だが暑さに閉口する。太郎平まで登り返して大休止。折立に下った。

こうして黒部川は上の廊下から源流まで足跡を繋げることができた。本当は薬師沢小屋から遡行したほうがより完璧なのだが、せっかく持って行く沢道具は遡行後には単に荷物になるだけなので、折角なら赤木沢と組み合わせて2日間沢を楽しもうということで、下降というルート取りになった。この結果、2日間黒部川源流の沢と山を存分に楽しむことができたし、何となく残っていた不完全な思いも払拭することができた。黒部の沢を信頼する仲間と歩けたことに感謝している。



 




有峰森林文化村宿泊施設 有峰ハウス
木の香りのする小ざっぱりとした宿
ここに前泊した




有峰湖を望む




折立から太郎平までの登山道にて
ニッコウキスゲの花盛り




「太郎兵衛平」が正式な地名
小屋は「太郎平小屋」




太郎兵衛平から薬師沢小屋までくだる
チングルマが咲き競っている




タカネヤハズハハコ
寄り合った花冠の一つひとつが愛らしい
何とも奥ゆかしい色だ




木道から望む赤牛・水晶の山並み




シャープな輪郭のミヤマリンドウ




キヌガサソウ
花弁の縁に赤紫色が薄く差している




薬師沢小屋




小屋前の吊り橋から黒部川下流方向
2010年上の廊下遡行ではここが終着点




同行の釣師、早速釣果を上げる
ここではキャッチ&リリースが約束だ




赤木沢出合が近い
カメラが水没してしまい、スマホで写真を撮る
思うようなシャッターチャンスで撮れず、残念!!




赤木沢大滝下
左岸の巻き道から登った




晴れていれば心が洗われるような美渓だが、あいにく天気は曇り時々雨
とはいえ、延々と続くナメ滝は難しくもなく、楽しい遡行だ




滝登りの前に、記念撮影




黒部五郎小屋から槍ヶ岳を望む




三俣蓮華から黒部川へ下る途中
谷は黒部川本流
奥に見えるのは黒部五郎岳
前日頂上に立ったが、霧の中で全く眺望が無かった




黒部川水源地の碑
実際はこれよりもう少し登った岩苔乗越の下が最初の一滴の場所である
岩苔乗越までは登山道が続いている




思いの外大きな雪渓があった
中心部は薄いので出来るだけ雪渓の端を歩く




かなり水量も増えてきて、赤木沢出合も近い




赤木沢手前の滝の上から
左手から入る沢が、赤木沢
通常、赤木沢を遡行する人は下から写すので、このアングルは少ない




赤木沢を渡り切って振り返る
ナイアガラ状の滝




赤木沢を渡り切った所の淵
右手は黒部川本流
赤木沢へは左手の棚を上がる




出合付近
水の色の美しさに酔い痴れる




さらに少し下ると小さなナメ滝
水量は多めだった




流れを飽きず眺める…




左岸を高巻いて下の流れを写す
花崗岩に水色が映える




小屋が近づいてきた
後は前日のルートを辿るだけなので、ここで一休み
何でもない所だが、やはり黒部は美しい




薬師沢小屋手前
吊り橋が見える
吊り橋の先は、雲ノ平や高天原に登山道が続く




帰路、太郎平小屋前にて薬師岳を望む
雄大な山容に圧倒される