2011年9月10日〜11日
沖ビリ沢・水ノ木沢
山の大切な友達の送別山行

日時・ランク・天候・人数
 2011年9月10日(土)〜11日(日)  D−C−8 曇り 15人
コースタイム

9月10日 

愛甲石田南口7:00==Y車、H車、T車で厚木から東名へ==裾野SAで休憩==山伏峠8:45〜9:20――水の木分岐9:55〜10:00――沖ビリ沢に下降――懸垂が終り西丸から降りる沢出合で昼食(むかしMさんと降りたところ)11:20〜40――林道(沢靴を履き変える)13:10〜36――BP14:30

9月11日 

BP6:43――入渓点750m6:53〜55――二俣1030m9:45〜10:08――三段15mの滝(記録をとっていないが。おそらく10:30〜12:00)――菰釣山1360m(正1379m)13:00〜30――ブナ丸1325m13:49――油沢の頭1300m14:12――1280m14:25〜33――樅の木沢の頭1280m14:35――西沢の頭1285m14:18――石保土山1297m(正1285m)15:23〜30――水の木分岐15:52――山伏峠16:28〜16:50==石割の湯17:00すぎ〜18:00前==能見台駅前解散22:00ごろ(渋滞のため)(この方面の人が乗ったため)

〜 山 行 記 〜

 台風の後の快晴の中、沖ビリ沢を下降。水量は多く、素晴らしいナメの連続となっており、丹沢の沢とは思えない。やがて林道に出て水の木沢の入渓点手前の広場にタープを張った。明るいうちから焚き火を焚き、宴会が始まる。
 翌朝は6時半出発。十分も歩くと入渓点である。この沢も水量は多く、少しグレードが上がった感じであるが、順調に遡行して丁度一時に菰釣山の頂上に到着した。
 私事で恐縮だが、今回は私の送別山行のような性格もあり、多くの沢教室卒業者が参加された。素晴らしい仲間と焚き火を囲み、沢の風に吹かれながら、暮れ行く夏の空のもとで飲む一杯のお酒は、贅沢そのものである。本当に感謝している。

  







CLより

山の会の大切な友人が関西に戻ってしまうので、送別山行を行った。
総勢15名となり、ゆったり楽しい山行となった。
またいつか一緒に山を登れるといいなあ。

ということで、今回はその方の記録を掲載させていただきたい。




<記録>
今年(2011年)6月に完全に仕事をリターヤーしたので、母の介護などの問題もあり、秋には故郷の関西に戻りたいと考えていた。そのことをTさんに話したところ、「それでは送別山行をしましょう、Hさん計画してよ」、ということになり、そのときに同席していたHさんが計画をたててくれることになった。CLはHさんがすることになり、SLは沢同期のKさんと、発案者のTさんがやってくれることとなった。最終的には参加者が多いので私もSLをおおせつかった。場所はすでにHさんとは2回行った西丹沢の沖ビリ沢を下降して水の木沢を遡行するルートである。
水の木沢は2006年の沢教室に入ったとき、CLをされた林さんが教室終了後のフォローアップとして計画されたが、実施直前に天候が悪いとの理由で中止になった。だがすでにそのときには林さんは病魔に侵されていたのだろう、まもなく入院となり、結局2007年の初夏に亡くなった。そのお葬式の帰りだったか、追悼山行として林さんが計画して行けなかった水の木沢に行こうということになった。林さんの計画は浅瀬から入ってビバーク、翌日は水の木沢を登って道志に下るというものであったが、Mさんと下見をして沖ビリ沢がアプローチとして使えることを発見し、今回のルートを完成させた。
2007年の8月下旬に同期の沢教室のメンバーとともに今回とほぼ同じルートで遡行した。そのときのメンバーはCLがT、SLがM、あとH、K、K、K、A、Kの各氏で、皆さん現在はみろく山の会の中核的なリーダーになっておられる。その後、2009年の沢教室(校長は石原さん)にSLとしてお手伝いをし、教室終了後にフォローアップとして同じルートを再度登った。
そのときのCLはT、SLはN、H、メンバーはS、N、K、Fの各氏であった。2010年、11年とTが沢教室の校長をやったこともあり、今回はCLのHさん、SLのKさんたちが、教室卒業生に声をかけてくれたおかげで、卒業生の多くの方々が参加してくれた。このほかに発案者のTさん、このルートに興味を持っていたIさん、Yさんが参加していただき、大変にぎやかな、そして心温まる山行となった。


9月10日(土) 

愛甲石田に集合し、3台の車に分乗して山伏峠を目指す。厚木ICより東名に入り、
裾野SAで一旦集合。御殿場ICより山伏峠に向かう。雲ひとつない快晴で絶好の沢日和。ただかなり暑くなりそう。山伏峠で沢装備に着替え、食料や共同装備を分担する。Kさんの指揮で準備体操をして例の古いホテル跡から入山する。暑さでたちまち大汗をかく。30分弱で水の木分岐に到着し、ここで水のみ休憩。1分ほど菰釣山の方に行った所から尾根に従って下り、正確に前回の大木のところに出た。ここから30mロープを2本繋いで懸垂下降。枝をつかんで降りることもできなくはないが、15人もいるので、安全をみて懸垂をした。久しぶりに懸垂をするという人もいて、Kさん、Tさんにチェックしてもらう。さらに下って5mの滝を懸垂下降。結構時間をとる。このころから曇りだした。しばらく下ると西丸からの沢の合流点で、ここで昼食。台風12号の影響で水量は今までの経験よりはるかに多い。さらに少し下ると、いよいよ綺麗なナメの連続になる。水量が多いので、沢一面が広い水の帯のようになり、素晴らしい光景。やはりここは丹沢は言うに及ばず、他の山の沢と比較しても出色のところである。途中の滝にはトラロープがはってあり、昔と比べるとかなり人臭くなったが、やはり心癒されるところである。そろそろ林道に出ると思ってから少し時間がかかったが、結局昼食場所から1時間半ほどで林道に出た。ここで登山靴に履き替えて林道を下る。このころからまた晴れてきて暑くなり。樅の木沢は橋から覗くと綺麗なナメが広がり、やはり行きたかったと後悔が残る。さらに降りていくとTさんがサルナシの実を拾う。キーウイーの原種だそうだ。見るとイノシシが逃げていく。それぐらいここは自然が豊富である。林道は一旦、菰釣橋まで下り、そこから鋭角に曲がって水の木沢に入る。1時間程度で思い出のビバーク地に到着する。台風12号でかなり荒れていてビバークが出来ないのではないかという懸念は杞憂に終った。広い平坦な場所で水場はすぐ側。薪は豊富でちょっとない場所である。さっそくブルーシートでタープを張る。2間X3間のシートを平行に2張り張り、さらにその下に同じシートを引いたのでもう完璧な宿舎。15人で12畳間が二つである。
夕食はKさんが中心になって計画してくれた大ご馳走で、それに差し入れの酒のツマミまであり、お酒は日本酒、焼酎、梅酒、ウイスキーなどこれまた豊富。明るいうちから薪をたき、宴会が始まる。私の送別会ということで、乾杯をさせていただく。食後もお酒やお茶を飲んで焚き火の周りにあつまる。焚き火の周りは暑いぐらいだが、
沢風は涼しく、次第に薪の火が明るくなってゆく夕暮れ、そしてお酒と信頼できる仲間。Kさんが用意してくれた山の歌を歌ったり、おしゃべりをしてすごす。やがて暗闇となり、眠い人からタープの下にもぐりこむ。私は最後まで焚き火の側でダベリながら、お酒を飲む。やがて月が出て木の間から月光が差し込む。二日後は中秋なので、ほとんど完全な満月。この豊かな時間。お休みと言って私もシュラフに潜り込む。


9月11日(日)

丁度5時に全員起床。今日もよい天気だ。早速朝食の準備が始まり、焚き火も再開される。昨夜の残った食料は全て全員の胃袋に消えた。ただお酒は結局残ってしまった。予定通り6時半には出発準備はできたが、準備体操をして出発は6時43分。10分強で林道がヘーピンで曲がるところから入渓。水の木沢も水量は多い。従来何でもなく登れた滝が、ルートを探すのに苦労するぐらいで、ランクが一つ上がったような感じである。一ヶ所だけやや厳しい滝があり、Yさん、T、Hさんは直登したが、やっぱり無理は禁物なので、右岸を高巻いてもらった。水量が多いので迫力があり、ちょっと丹沢の沢とは思えない楽しさがあった。二俣には2時間半強で到着。ここで大休止。ここからが核心部。気合をいれて右俣に入る。例の3段15mの涸滝は水が流れており、ウーンという感じだが、空身になって取り付く。ところが登りだしてみると従来ヌルヌルで苦労した滝はフリクションのよく効く快適な滝に変わっていた。台風12号で土石流が流れて岩の表面を削り取ったのだろう。ただスタカットで一人ずつ登ったので1時間半ほど時間をとってしまった。ここからは浮石の詰まった狭いガリーだったが、ここも浮石はほとんどなくなっていた。やがて左岸にテープが現れた。以前はもっと上まで沢を詰めたはずだが、テープに従い左岸の尾根に取り付く。木の根を掴んで一汗書いたところで縦走路に出た。菰釣山へ1分のところである。握手、握手。菰釣山の頂上は結構な人がいたが、この2日間であった唯一の人たちであった。昼食を食べ、沢装備を解除して下りにかかる。この尾根は小さなアップダウンがあり結構疲れる。しかし時折望まれる山中湖が美しく、山道はススキが開いてもう秋の気配である。結局3時間かかって午後4時半に山伏峠の駐車場所に戻った。
ここで共同装備やガチャ類の整備をし、さらに同方面の行く人は同じ車に分乗する。
石割の湯でお風呂に入り、精算をしてここで解散。帰りは渋滞に巻き込まれて、家に帰ったのは22時を過ぎていた。

<感想>
 私の送別山行にこのように多くの人たちに参加していただいて、本当に感謝である。今回のルートは何回も来たところではあるが、沢の状況は今回が一番素晴らしかった。思えば沢教室の林さんが亡くなり、師範代みたいな立場の私がCLになって個人山行で同期の仲間と追悼山行をしたのがこのルートである。わたしの最後の丹沢の沢が同じこの場所であったことは、Hさんたちのご配慮ではあるが、感慨深いものがあった。結局私のみろくの山は沢中心であったし、そのもとは沢教室であった。みろくに入会する前にはこのようなことになるとは思ってもいなかったが、ここからのさまざまな出合が上ノ廊下や赤石沢に繋がっていった。なにも難しい沢だけが価値があるわけではないが、そうした所まで自分の可能性を広げることができたことはみろくの仲間のおかげである。
 それにしても暮れなずむ夏の空と、明るさを増していく焚き火、さわやかな沢風、信頼できる仲間と一杯のお酒、これ以上贅沢な時間があるだろうか。本当に何度言って言い尽くせぬぐらい感謝している。


沖ビリ沢での懸垂下降


沖ビリ沢のナメにて


沖ビリ沢のナメを歩く


沖ビリ沢の支流のナメ滝


たき火を囲んで語り合う


ブルーシートのタープで一晩過ごす


水ノ木沢はいつもより水量が多かった


最後の詰めまで楽しい

菰釣山で記念撮影