北鎌尾根

    
日時・ランク・天候・人数
 2010年9月18日(土)~9月21日(火)  D-C-9  晴/晴/曇/雨  4人
コースタイム
集合場所:JR海老名駅7時00分
解散場所:上高地19時00分

①18日
  海老名駅07:00・・11:41上高地12:13・・・15:08横尾(幕営)
②横尾05:52・・・08:43大曲08:43・・・09:52水俣乗越10:31
  ・・・12:02間ノ沢出合12:02・・・12:59北鎌沢出合13:01
  ・・・16:54北鎌のユル16:58・・・17:19幕営地
③幕営地08:30・・・09:12(P8)09:12・・・:09:22(P9)09:28
  ・・・11:49(P10鞍部)11:49・・・12:01(P11)12:01・・・13:22(P12)13:22
   ・・・14:43(P13鞍部)14:43・・・15:09(P14鞍部)15:09
   ・・・17:35(P15鞍部)17:35・・・17:35幕営地
④幕営地06:57・・・07:17北鎌平07:22・・・08:46山頂直下ダイレクトルート09:41
  ・・・09:55槍ヶ岳山頂09:57・・・10:22槍ヶ岳山荘11:04
   ・・・18:35上高地BT

※歩行:①2時間42分、②9時間19分、 ③6時間58分、 ④9時間6分
  休憩:①13分、    ②2時間9分、  ③2時間7分、  ④2時間32分
報告事項 ・3、4日間、悪天候のため、朝の行動が遅くはじまった。
・P14からP15へ稜線越にいくつもりで、ロープで確保しのぼり、視界が効かずルート不明になり、懸垂下降で巻き道に降り、1時間30分ロスがでた。
~ 山 行 記(その1) ~
二日目、夜明けとともに横尾を出発、水俣乗越にて装備をつけ、天井沢へと下っていく。河原から見上げると、大槍とこれから向う北鎌尾根が一望できる。これからあそこに向うのだ。北鎌沢出合より北鎌沢を登る。程なく右俣への分岐となる。水を補給する。北鎌のコルに向って急峻な沢を登る。足元に水が流れているのに4ℓも水を背負っているとは…、嗚呼、足が動かない。
遭難者の捜索なのだろうか、二度三度と頭上にヘリコプターが飛んできて静止している。北鎌のコルに到着し、尾根上を進んで幕営。

三日目、未明から雨。「午後には晴れ」との天気予報に期待して霧の中を出発する。」天狗の腰掛、数々の岩峰を三点支持を確実に行い注意深く通過する。風雨が強まり寒くなってくる。北鎌平の手前でテントを張ることにする。雨と風の中、四人でテントの四隅を確保しながらの作業となる。濡れた体とザックをテントに入れ、暖かい飲み物でホッとする。夜もテントはバタついている。

四日目、午前中雷注意報が出ているということで、大槍にむかって出発する。やや広い所に到着する。北鎌平だ。これから大槍の基部に取り付けていく。ルンゼでは、先に登ったリーダーにザイルで確保してもらい何とかよじ登る。最後の岩をよじ登ると、山頂のお宮の後に出た。午前9時40分の登頂。悪天候のためかギャラリーは居なかった。四人で握手を交わし、二分後には下山。

歩いている最中、湿ったテントの中、「なんでこんなつらい思いをしなければならないのだろう、次は来たくないな」と思ったけれど、今では又機会がれば再度挑戦したいと思っている。人間って勝手だな。確実な技術と冷静な判断で、安全に実施して戴いたリーダーにこの場でお礼を申し上げます。

                                                                
~ 山 行 記(その2) ~
4日間の山岳天気予報「槍ヶ岳」は19日の夜崩れるも概ね良好。中止にする材料は無い。北鎌尾根への取り付きに、今回は2年前のCL研修でご指導いただいた上高地から水俣乗越へ、そこから北鎌沢出合へ下降するルートを選んだ。

(19日)
 快晴のもと5時52分横尾のテント場を出発し、9時52分水俣乗越着。大休憩40分の後、ハーネス、ヘルメット等の装備をつけ、35分間急坂を降り、ゴーロの下りを間の沢出合いへ。ここからは、ゴーロ歩きになり、北鎌沢出合いへ12時50分着。ゴーロ歩き中、撤退してくる二人組に会う。昨日、乗越から下降し、出合でビバーク、早朝ヘッドランプで出発し二俣で間違えて左俣に入り、進めなくなり、戻る途中で手を骨折してしまったという。依前、私も左俣からの戻りで泣いた経験がある。

いよいよ、急峻な沢 北鎌沢の登りに入る。二俣でビバーク用の水を補給し、右俣に入る。20キロのザックが肩にくい込み、きつい沢登りになる。水を補給し、背負っているにも拘らず、今年はいつまでも水流が消えない。結局、かなり上まで、伏流水になっても、水がでていた。これが、更に背中に重みを感じさせる。

遭難者の捜索らしく、ヘリが頭上に停まり、見下してる人が見える。遭難者に間違えられたかな?ヘリが風をおこして飛び去ったと思うと又右下方から現れ停止。3回目早く去ってくれないかとドキドキして知らん顔する。

北鎌沢上半部は凄いガレで落石が多い中、下ってくる人がいる。単独行だ。理由を聞くと「天狗の腰掛の岩が攀れないと判断して戻って来た」「北鎌沢の下降は命がけでしょう?」『それでも・・・』。

休憩も多くなり、北鎌のコルまで3時間の予定が30分多くかかった。コルのビバーク地は狭く、二人用テントが精々張れるが私達の4人用は無理。尾根を20分進みビバーク。念のため這い松から張綱をする。

(20日)
 未明3時半、雨が振り出す。予報では、回復に向かっているという。岩が塗れているだろうから、天気をみて進める所まで行こうと決め、時間を遅らせ、8時半出発。いよいよ北鎌尾根上半部から槍ヶ岳に向かう。硫黄尾根の向こうに裏銀座の山々も見え、これなら槍ヶ岳を越せるだろうと希望が湧いてきた。

P8、P9(天狗の腰掛)P10(独標)からP13と順調に進んでいたと思う。その後、右のヘつりに残置スリング、ピン・・・・とあり、そのルートに入り、切れた所で、懸垂下降して下から稜線へ登るルートを捜したが、ツルツルの岩で無理と判り、登り返して基部に戻り、ロ―プを出して直登した。次回要注意箇所。

この頃から雨が降り出す。P15の鞍部からガレの巻道の途中から直登(間違い)すると草つきルンゼにぶつかり、構わず、ピークから稜線越しに進もうと思い、上がった。ロープで確保する事にし、上がったら、視界がきかず先が見えない稜線通しで隣の北鎌平方面に続いている筈と思ったが見えない。止む無く、全員懸垂下降し巻き道に戻る。雨と寒さの中、1時間半ロスしてしまった。反省。巻道は踏み跡から外れたと判った時点で上がらず、引き返すべきでした。風、雨激しく、北鎌平手前20分でビバーク。(前もここでビバークしたことがある)

(21日)
 もの凄い風と雨。視界ゼロ。1日停滞も覚悟。しかし、5時の天気予報では前線が停滞し午前雷注意報がでている。進む事に決定。

冬用下着、シャツ、ダウンと着て寝袋に入っていると、例え寝袋が湿ってきても温かく、出るのには勇気が要る。強風である。テントの撤収の段取りを打ち合わせた。着膨れのままテントを撤収し、槍の穂先へ。目指す槍の姿が見えないので、ルートフアインテイングが難しい。

頂上直下の核心部は予定していた左ルンゼは止め、(今回は岩も濡れ、残置もない状態) 右のダイレクト登る、ルートに変更。残置ピンが6箇所ほど有り、ロープで確保して登る。

終了点は槍ヶ岳頂上。祠の後からポンとでる。誰もいない頂上で感激の握手を交わし、2分で頂上を後にした。 上高地から松本へ。日帰り温泉により、山行の反省をし、午前1時20分帰宅。

北鎌沢からの撤退は難しい中、前線の停滞 強風、雨、寒い、視界なしの、あの悪条件の下でヒヤリハットが皆無だったのは、
 ①ビバークの準備が万全だったこと、
   前回の山行の際、ビバーク可能地の目星をつけていた事。水、食糧、防寒対策が万全だった事
 ②随所でロープをだした事、
等があげられる。 

反省としては、本来、稜線通しで登るのが筋と思うが、巻き道を上手に使って、効率を図るのが良い。また、今回、視界が利かず、巻き道を見落としがちになりロスが多かった。雨でロープを出す機会が増えた。ヌンチャクなど登攀具が足りなかった。


天井沢から
見上げた
槍ヶ岳と
北鎌尾根


  
色づくナナカマド
  
独標と
かなたの槍ヶ岳

  
北鎌尾根を行く
霧中の登攀
霧の槍ヶ岳山頂
  
  

過去の山行記録