日時・ランク |
2007年11月3日(土)〜5日(月) C-C-10 晴 4人参加 |
コースタイム |
3日
野鳥の森登山口11:40・・・13:40麻布山13:50・・・
14:40前黒法師山14:50・・・15:15テント場
4日
テント場6:10・・・7:55バラ谷ノ頭8:10・・・9:15黒法師岳9:30
・・・10:15水場のコル・・・水場往復10:35・・・11:00バラ谷ノ頭11:10
・・・13:05テント場
5日
テント場7:20・・・8:00前黒法師山・・・9:00麻布山・・・11:30野鳥の森登山口
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報告事項 |
前法師山〜黒法師岳間はフミ跡がうすい。
又、尾根が広いのでガスが出たときは要注意です。 |
山行記
中学生のころ、「少年倶楽部」かなんぞに狼がご神体の社として山住神社が紹介されその背景には入山を拒絶する深い山々が連なっている、と記されていたように思う。以来、南ア深南部は私にとって神秘のベールに包まれた秘境であった。
タクシーは山住峠を通り越して曲がりくねったスーパー林道を走り続け麻布山登山口に案内してくれた。秋晴れの文化の日である。4リットルの水を背に今日のテン場、前黒法師山へゆっくりと歩き出す。木々の密集した登山道は木洩れ日に落葉が舞い気持ちが良い。2時間ほど歩きうっすらと汗ばんだころ麻布山山頂に着く。眺望のない平坦な山頂に「ここより先道標なし、ご無事で」とある。深南部の始まりか。
やがて南アらしい巨木と紅葉の森に入る。戸中山や前黒法師山は紅葉に埋もれそれと気づかせないほどひっそりとしていた。広場のように広い尾根のふかふかな落ち葉の上を寝床に定める。
幸い無風。食当氏自慢のカツ丼に舌鼓。夜、鹿の話し声に何度も目を覚ます。
ひんやりとした空気が気持ちいい。朝日に透明度を増した紅葉が美しい。広い尾根を下り最低鞍部まで来ると左手が開け黒沢山や六呂場山が朝焼けに一瞬の輝きを放っていた。ここから登りとなり足元は笹原に変わる。草丈はさしたる事もない。けものみちが何条もありどれでも行けそうで戸惑いながらの登行となった。草深い原始の森のイメージとまったく違いどこか都会的ですらある。
深南部にはずば抜けて高いと云う山はない。バラ谷の頭は2010m、本邦最南の2000m峰であるらしい。2時間の奮闘でついた笹原の山頂からは南アの山々がぐるりと見渡せる。伸びやかな黒バラ平を挟んだ向こうに目的地黒法師岳が連なる。悪所鎌崩、その奥に光岳も顔をのぞかせる。のんびりしたい気持ちを振り切り黒法師に向かう。
バラ谷ノ頭から急なガレの縁を下ると獣の臭いがぷんと鼻を衝く。山頂から見えた黒バラ平はヌタ場が点在する笹の海だった。けもの達の楽園をそっと通過する。そして山頂への最後の登りだけは笹を掻き分け、笹を掴みながらの急登だった。ぐんぐん高度を稼ぎ一気に山頂到着。シラビソに囲まれた黒法師岳山頂であった。紅葉を愛で笹原に遊びハイキング気分で楽しんでしまったが、少年時代に思いをめぐらせた私だけの秘境、黒法師岳でもあった。 |
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