B山行 背戸峨廊 (バス山行) 
(せとがろう)

  日時・ランク・天候  11月17日(土)  B-B-3.5  晴  21人参加
  コースタイム
江田駅11:15・・・11:25遊歩道入口11:40・・12:15トッカケの滝・・・12:30河原で昼食13:00・・・釜が淵13:20・・・片鞍の滝13:30・・・13:50竜門の滝14:00・・・竜の寝床14:20・・・14:40鹿の子滝14:50・・・見返し滝・三連の滝15:00・・・尾根分岐15:15・・・遊歩道入口16:00・・・江田駅16:15 
報告事項 入山時間 春、夏 (午後2時迄) 秋、冬 (11時迄) 
水際歩き、へつり、岩でクサリが多い。長ハシゴ5ヶ所有他最後まで気が抜けない。
それだけにスリルに富み面白くコースは整備されている。荷物は軽くして、距離が長いので小雨はやめた方がよい。 
               山行記片鞍の滝
 ひたちの国いわきの里、そこを流れる夏井川の支流に背戸峨廊という渓谷がある。いわき出身の詩人、草野心平によって付けられたのだが、この読むだけでも苦労する風変わりで凝った名前は、一見優雅なようでもあり、恐ろしいようでもある。
 
 この谷は低山でありながら、深山の様相を見せて、いくつもの滝が宝石を散りばめたように連なっている。岩は平凡な花崗岩ながら、その白さがきれいな砂を造り、イヌブナの木と共に明るい渓谷を仕立てている。谷に入ってまず「トッカケの滝」が迎えてくれる。トッカケとは此処の方言で最初とかまずはという意味。そこを過ぎると「三連の滝」がある。一段二段と落ちる毎に水の速さが増し、三段目では吹き上げるような勢いで飛び出して来る。なかなか迫力のある滝だ。更に登って行くと、「滝門」と呼ばれるる滝に出る。門があれば龍が居てもおかしくない。字から云っても龍と滝は緑が深いから等と考えながら滝の上まで登った。ここで一休みとなったので、全山黄葉に包まれた絶壁が見えた。黄や朱の中に緑の常緑樹を配して、まるで狩野派の描いた巨大な屏風画のようで、ただ口を開けて見とれている内、瞬く間に出発となった。車が渋滞して一時間も遅れたからなあ等と口の中で愚痴っている内「見返りの滝」着いた。見返りという位だから、当然振り返って眺めて見る。すると曲がりくねった岩」の溝の中を水が勢いよく落ちて行く。それは龍がうねうねと下って行くようにも見える。やはり龍は居たんだ。次々に出てくる様子を登り登りしながら色々な名前の付いた滝を過ぎ、ようやく最後の滝に着いた。それはこの渓谷中で一番優美な滝で「鹿の子の滝」と書いてあるが、バンビというよりはむしろ妖精とでも云った方がいい。妖精が白い薄地のスカートを翻して座っているといった風情だ。この谷は龍が住み妖精が舞う華麗に色どられた静謐な世界なのだと気がついた。きっと心平は秘密の扉を開けた向こうには、異次元空間が広がっているよと言いたかったのではないか、だからこんな難しい表現で謎めいた名前をつけたのではないだろうか。帰りは山側の道を通った。

 谷を埋め尽くす分厚い若葉の海を横に見ながら、稜線に沈みかける秋の夕日にせかされて、急坂を落ちるように下って来ると、夕闇の駐車場に龍の目のような赤いテールランプを灯してバスがポツンと待っていた。



すべる!すべるよ 気をつけて! 一段一段 慎重に!
仲間たちとホット一息! 紅葉に万歳!!

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