山行記
八海山は、いくつかの峰の総称であり、信仰の山である。「降らなきゃいいね。」を
合言葉に八海尊神社に安全祈願をして出発。 ザックは重く、心は軽く、足どりは
いかに? 雨に濡れた新緑に見とれるのも束の間、急登、鎖、ハシゴと、精一杯の
緊張。 吐く息が荒くなる。
−時間余りで金剛霊泉についた。 石碑 が立ち並ぶ、荘厳な趣の、岩間から流れ
出る冷水は、吹き出した汗の何倍もの活力を与えてくれた。
空は次第に明るくなり、もしやこのまま晴れるかと、大きな期待。時折、途切れた
樹林帯から眼下に広がる魚沼平野が、霞に縁取られて絵のようだ。
立ち並ぶブナの大木が、いつしか低木に変わったあたりで思わず足を止め歓喜
を上げた。 足元に一面の岩うちわ。 これ程の岩うちわを、これ程間近に見るのは
初めて。 すこしうつ向きかげんに、薄桃色に咲く様は、乙女の恥じらいの風情(私
にもあったのだきっと。 こんな季節が・・・)
期待虚しく、ロープウェイ駅直前に降り出した雨は本降りになった。このあたりから
残雪は深くなり、ー歩ー歩慎重に足を運ぶ。 それでも時折、ザクッと膝までめりこん
でしまう。
午後2時過ぎ、女人堂避難小屋に到着。 ホッ! 他に宿泊者はなく、貸切の
避難小屋での夕食は、それぞれの大きなザックから出てきた、海草サラダ、ゴボー
サラダ、お肉と野菜たっぷりのスキヤキ等々、豪華ケンラン。
―晩中降り続いた雨は、朝には小降りになっていたが、リーダーの判断で下山
となった。未練を小屋に置き去りにして下山開始。 雨の下りはすべりやすく、登り
にも増して緊張の連続で、八海山はまさに修行の山でした。 そして、新緑美しい
晩春から雪の世界へ、−気に季節の旅を味わった山でした。 さらに、教えていた
だいた避難小屋泊のノウハウは、又ー歩、山の楽しさを深めてくれました。。
ありがとうございました。
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八海山の女人堂までの断面図 |
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