10:28 平館に着き、中型とジャンボの2台に分乗して「ぶなの駅」に向かう。「ぶなの駅」から登山口までは林道が伸びているのだが、すれ違いができない悪路のため、タクシー会社の方針として「ぶなの駅」の先には入ってくれない。TuBが助手席に乗って運転手さんと懇意にお話をしながら走る。結果的には登山口のすぐ近くまで送ってもらうことができた。約一時間のゲイン。
11:43-53 少し登ったところに水場がある。今日、宿泊予定の陵雲荘は、八幡沼のすぐそばに立っているのだが、地元役場の人から沼の水は飲まない方が良いといわれている。細菌だけならば煮沸すればいいのだけれど、有毒の鉱物などが含まれているのであれば、やはり飲用は避けた方が良いだろう。翌日の午前中の行動分までの水を担ぐ。尾根を回り込んで茶臼岳に登る道を左に分けると、右手に深い谷が現れる。安比川である。ほぼ水平に歩いていくと、だんだんと谷の方が近づいてくる。
12:30 一部で崩れかけたところもある。沢と同じ高度になったところで渡渉。渡渉した先で沢沿いの道と、尾根に上がる道に分かれえる。沢沿いの道は崩れている可能性が高いので尾根に上がる道を選ぶ。50m程登ってから沢に平行して進んでいく。
12:45-57 左に安比温泉への分岐を分けたところで休憩。HoRが温泉に入ってくると意気込んで分岐を下って行ったが、すぐに戻ってきた。休憩中に一風呂というのには、高低差がありすぎるようだ。ここからが、今回の山行で唯一の長い登りだ。重い荷物も負荷になっているが、暑さと虫がいやらしい。うちわで虫を追い払いながら登っていくが、腕を数カ所刺された。道の両側には様々な花が咲いている。「HoRちゃん、これなあに?」の声が、何度も上がる。
13:54 安比岳北稜の肩に乗る。ここからが分水嶺だ。北側に続く分水嶺の尾根は深い森になっている。栗駒山から秋田/岩手県境に沿って忠実に北上してきた分水嶺は、八幡平から県境を外れて岩手県の中に入る。次に県境に合流するのは、青森との県境になる。その間、名も無いピークをさまよいながら伸びていく。分水嶺にこだわっている人以外には歩く人はなさそうだ。前途多難な行程に、ため息をひとつついてから、先に行ってしまったメンバーを追いかける。
14:20 安比岳は50mほど東側を巻く。
15:07 茶臼岳にに向かう道を左に分けると、丸太の階段の道になり右側にお花畑が広がる。さらに登ると湿原にでる。視界は50mほど。ニッコウキスゲが咲き乱れる湿原がどこまでも続いているように見えて幻想的だ。木道を歩いていると何組かの観光客とすれ違う。八幡平は、車で来れば駐車場から手ぶらで歩いて回れるような観光地なのである。
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八幡平への最後の登り
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霧が幻想的な八幡平の池塘
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花を愛でるには最高の季節
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陵雲荘で薪ストーブを囲む
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15:42 花を愛でながら木道を歩いていくと左手に陵雲荘が見えた。きれいな小屋だ。先客はいない。正面の板の間で宴を開く。最初のオードブルは、HsKがザックの脇に入れてきたカイワレのサラダ。メインディッシュは、キノコと海老の鍋に麺を入れる。到着が遅くなるのを予想して、短時間でできる献立を考えてくれたのだが、予定よりもずいぶん早く着いた。夕食を済ませて、さあ寝ようかと思っていると、なにやらごそごそと音がする。薪ストーブに火を入れたのだ。二日目のために持ってきたブランデーを飲みながら、夜は更けていく。岩沢の話から、混浴の話に転んで、夢の中へ、
2012年7月15日 日曜日 雨
4:50 小屋の中でストレッチをして出発。八幡平の頂上は、分水嶺から外れているし、登っても何も見えないのでパスして分水嶺の通る見返峠に向かう。少し下って車道を渡ると、岩手側、秋田側、それぞれにレストハウスが建っている。その間の車道を歩く。
5:23 車道が藤七温泉に向かって左折するところから山道に入る。直ぐに畚岳の分岐。「展望が良い」と地図には書かれているが、今日見えるのは、純白の世界だけ。分水嶺からも100mほど外れているのでパス。女性陣が先頭に立ってピッチを上げる。諸桧岳からは「岩手山が良く眺められる」と書かれているが、今日は心の目でしか見えない。目を楽しませてくれるのは、点在する湿原に咲く花々だ。そのとき、前方から前方から声がした。YmTが木道で足を滑らして、腰をしこたま打ったようだ。雨の木道歩きでは、毎回犠牲者が出る。ひどくないといいのだが。
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岩手県側のレストハウス
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雨の木道は気をつけましょう!
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8:25-56 コースタイム4時間15分のところを3時間で大深山荘に到着。靴を履いたまま入るのが憚れるほどに綺麗な山荘。八幡平では通じなかった携帯が、ここでは通じる。今日は夕方まで雨だが、夜には上がり、明日は曇りのち晴れの予報。明日の天気が悪いようだったら、今日中に大白森山荘まで足を伸ばすことも考えようていたが、今日は、予定通り八瀬森山荘までと決める。時間には余裕があるので、コッフェルでお湯を沸かしてコーヒーを飲む。ここからは男性人が先頭で歩く。KsMがトップに立ち、沢と化した登山道を登っていく。KsMは、あたかも沢靴を履いているかのようにぐいぐいと道の真ん中を歩いていく。そこまで思い切れない僕は道の端を歩いていく。大きな葉を広げた水芭蕉やバイケイソウは気兼ねなく踏めるが、ニッコウキスゲを踏むのには罪悪感を感じるる。
9:37 大深岳を通過。展望が利かないピークは通過して、花が咲く湿原をレストポイントに歩を進める。
11:07-12 HoRがトキソウだ、と声を上げる。ランの一種。HoRも初めて見るそうだが、言われてみるとあちらこちらに咲いている。蕾は、鮮やかなマゼンタ。開くとやさしい桜色になる。気を付けないと、足元のモウセンゴケを踏んでしまう。このあたりは日帰りでは来れない所なので、自然が保存されているのだろう。
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雨の日のオアシス 大深山荘
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トキソウ発見
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準絶滅危惧種 ラン科 トキソウ属 トキソウ
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食虫植物 モウセンゴケ
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12:12-18 関東森で休憩。今日のルートは、アップダウンは少ないのだが、沢や水溜りに加え、倒木が多く障害物競走のようだ。比較的新しい倒木が多く、また、根こそぎ倒れている木も多い。去年の大雨でたおれたのだろうか?人の手による環境破壊よりも、異常気象によるダメージの方が大きいかもしれない。それも、元の原因は人間なのかもしれないけれど。
12:52 八瀬森山荘に到着。3年前、葛根田川を遡行したときにお世話になった小屋。小屋の手前の水場で給水。前回は澄んだ水だったが、今日は雨のためか着色している。小屋に入ると、沢登の道具と、びっしょりと濡れたテントが干してあった。先行者がいるようである。若い4人組は、我々に1階をのスペースを譲ってくれ2階に上がっていった。KsMが上手にロープを張って濡れたものを乾かす。今日のオードブルはTuBが摘んだウルイと塩昆布の和え物でスタート。昨日飲みすぎたか、とも思っていたのだが、日本酒、ウィスキーと酒が切れることは無かった。YbTは浄水器を使って水を越すが、色は消えない。僕のご自慢、EtaPowerと2.9Lコッフェルで10人分のご飯を一気に炊く。このバーナは、安定性と熱効率の良さは抜群なのだが、火が見えないので火力調整がむずかしい。飯炊きおばさんの指示に従って、僕は火加減調整に専念する。メインディッシュはアマノフーズのカレー。ちょうどカレー向きの炊き上がりとなり一安心。
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跨いで潜って飛び越えて
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八瀬森の湿原
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2012年7月16日 月曜日 海の日 雨
天気予報では晴れるはずだったのに、山荘をたたく雨の音は弱まらない。3:30に起床。二階は未だ寝ているので静かに朝食をとる。
4:50 小屋の中で各自ストレッチをして出発。八瀬森まで80mの登り。一旦下って、曲崎山まで200m登る。登山道には勢い良く水が流れ沢登のようだ。僕の靴は、なんとか両足ともドライな状態をキープしている。深みに足を突っ込まないように気をつけながら歩く。今日もTuBをトップに女性陣が先を歩く。今回は、このオーダが良かったようだ。女性陣はコンスタントにピッチを稼ぐ。重たい荷物を持った男性人は遅れがちになるが、多少間が開いても倒木などの障害物突破で追いつく。
8:57-9:22 大白森山荘で休憩。雨の日は途中の休憩は短時間の水飲みだけにして、小屋でゆっくりと休む。この地域には4時間間隔程度で小屋が整備されていて助かる。大白森山荘では単独者に出会う。昨夜は此処に停まり、今日は先に進むかどうか悩んでいたとのこと。我々の状況を聞いて、乳頭温泉に引き返すことに決めたようだ。
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今回は沢登りではないはずなんだけど、、
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大白森山荘
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9:50 小屋から150mの登りで大白森の湿原に出る。見渡す限りの湿原。ニッコウキスゲ、ハクサンチドリ、トキソウも群落になっている。湿原を抜けようとしたところで、後ろからドスンという音が聞こえる。花の写真を撮っていて遅れていたHoRがあわてて追いつこうとして木道で滑ったのだ。二人目の犠牲者かと思ったが、大きなザックがクッションになって腰は打たなかったようだ。
11:08 乳頭温泉に下る道を右に分けて乳頭山に向かう道に入る。
12:13 蟹場への分岐。今回はじめての集合写真を撮る。ここで分水嶺の尾根を離脱。支尾根を下っていくと標識の無い分岐が現れる。どちらに行こうか迷ったが、右のルートを降りると直ぐに蟹場温泉に出た。
12:56 蟹場温泉に漬かる。内湯は、木風呂と岩風呂の2種類。女性専用の露天風呂と混浴の露天風呂がある。最初に木風呂に入る。鉄分があり茶色くにごった温泉。湯船は熱すぎてとても入れない。岩風呂に移動すると湯の花が浮く透明な泉質。こちらは快適な温度だった。14:30のバスで田沢湖駅へ。駅前の食堂で乾杯。反省すべき点、何も無かったよね。
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大白森湿原
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蟹場の分岐で分水嶺を離脱
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乳頭温泉の一番奥の蟹場温泉
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快適な湯加減の岩風呂
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