分水嶺2回目の山行も、天候とメンバーに恵まれて、
無事、完踏してまいりました。
道は比較的明瞭でしたが、アップダウンが多く、岩場もあり
体力戦になりましたが、楽しい山行になりました。
4月10日
恒例となった22:26高尾発の普通列車で小渕沢に向かう。
祝日だった前回はガラすきだったが、今回は仕事帰りの人が
沢山乗っている。大月を過ぎることには、ずいぶん乗客も減って、
長椅子を占領して熟睡モードに入る。
ふと眼を覚ますと、周りにたくさん人が立っている。
甲府から韮崎方面に帰る人が乗り込んできたようだ。
あわてて席を譲る。
小淵沢駅のホームの待合室では、一時間前の電車で来ていた
坪井さん、Kさんが寝る態勢を整えていた。
最終電車で来た5人も、それぞれベンチを占有して寝る。
今回は、乗り過ごしてきた酔っ払い客もおらず、
待合室を占有して熟睡。
4月11日
朝から、快晴。6:10発の小海線の始発に乗る。モルゲンロートの
甲斐駒がきれいだ。八ヶ岳の雪は、2週間前よりも減っているように
見える。小海駅で車で来た岡崎さんと合流して、ジャンボタクシー
に乗る。上栗生の先、一平沢の出合いの手前のゲートまで入ってもらう。
8:06
ストレッチをして出発。ぽかぽかの陽気。2週間前には見事な氷瀑だった滝も
ずいぶん溶けている。
9:01-09
前回は、一気に下った林道も上りはきつい。ポイント04で休憩。今日は
薮こぎをするには天気が良すぎる。
9:24-34
営林署小屋。前回は気付かなかったが、給水設備があって、清水が滔々と流れている。
分水嶺のルート上には給水ポイントはないのだが、2日分の水を担いで歩くことによる
体力消耗のリスクの方が高いので、ここでの給水は当日分の行動用+500mlとする。
9:46-55
林道終点。前回の分水嶺離脱ポイントに到着。ここで、サングラス、手袋のヤブ装備を
整える。林道から続く沢沿いに登っているのが楽なのだが、分水嶺にこだわって
まっすぐ尾根に取り付くことにする。今日の先頭は「藪クイーン 山科」。
薮の中を進む明瞭な道を見つけて登り始めるが、ほんの10mも歩くと道はなくなり、
2mを超すササやぶに突入する。ササに灌木も混じり、ギブアップ。先頭を
ヘルメット装備のKさんに代わってもらい強引に進む。
密ヤブとの格闘は15分ほどで終わり、先頭を薮クイーンに戻して弥次平へ登っていく。
さすがにルートファイディングは的確だ。ついつい早くなりすぎるペースを
岡崎さんが修正してくれる。
10:37-53
溶けかけてはいるものの滑りやすい凍結斜面になったのでアイゼンを付けることにする。
アイゼンを付け終えて皆の様子を見ると、ひとり、店開きをしている人がいる。
「ちょっと待ったクン」だ。ここで幕営するわけではないのだけど、、、と思っていると
アイゼンがない、とのたまう。エスケープの難しいコースをアイゼンなしで突き進むのは
危険だ。今回は、序盤敗退か、と思案していたら、ザックの底から見つかった、との声。
「ちょっと待ったクン」は、「だいぶ待ったクン」に格上げになった。
11:01
弥次平の南のピーク。ここが今回の最高地点1970m。しっかりと地図で現在地点を確認。
11:08-10
鞍部。明大ワンゲルの1970年の標識がある。ここでも尾根の方向を確認して北北西の
尾根に乗る。
11:50-12:09
ポイント10で昼食タイム。暑さで水の消費が激しい。
このあたりはヤブが厳しいことを予想していたが、それほど厳しくはなく、気持ちよく
歩いて行ける。
13:04
赤火岳手前の最低鞍部ポイント12を通過して赤火岳の登りにかかる。ヤブが厳しくなり
ふたたびKさんに先鋒を務めてもらう。
13:47-14:02
岩場を回り込むと赤火岳の山頂。たたみ3畳ほどの小さな山頂。MHCのプレートがかかっている。
ここからは、斜度のきつい北西斜面を下る。凍結した斜面に気をつけて、木に掴まりながら下る。
突撃隊長の負荷のためか、Kさんの足がつる。
14:45-15:02
ポイント13でアイゼンを外す。ここから先、踏み跡はしっかりして歩きやすい路だったが、
予想以上にアップダウンが激しい。予定時刻にはぶどう峠につきそうになかったが、
天気の心配はないので、休みをとりながら、ゆっくりとぶどう峠を目指す。
17:13
ぶどう峠に到着。長野側から走ってきたライダーに写真を撮ってもらう。
明日のために入念にストレッチをする。
ライダーに長野側に水が流れている沢があったかどうか聞いてみるが、相当下に行かないと
ないとの話。群馬側には10分ほどで水が取れたという情報を事前にネットで調べていたので、
村上、岩井、村田の給水部隊を編成して林道を群馬側にくだる。
17:42
第一水場。ぶどう岳東尾根の南側沢。岩から浸み出している水場を発見。
おいしそうな水だが、ちょろちょろの水で、時間がかかりそう。
ここは、村上さんに任せて、さらに下る。
17:55
第二水場、尾根の北側の沢。コンクリートの壁の水抜きパイプから往き勢いよく水が出ている。
あまり、おいしそうには見えないけれど、上部には、雪渓が残っていて、雪解け水が流れているようだ。
ここで、12L調達。
18:12
村上さんの水と合わせて17Lの水。これで、明日の行動分まで十分だ。
西の空が、うっすらと夕日に染まっている。峠に設置されたテーブルで夕食の準備。
ぶどう峠にふさわしい、山葡萄酒、ワイン、を始めとして、かぼす酒、梅酒、
焼酎に熱燗と、バラエティに富んだお酒。ちらし寿司には、いくらをたっぷりと載せて、
豪勢な晩餐となった。
アル中倶楽部の反乱により、リーダの決めたテント割が守られなかったのは、
やむをえまい。
4月12日
4:00に起床。餅スープを食べて、5:30には出発の準備が整う。少し雲があるが、
今日も終日天気の心配はあるまい。少し陰ってくれた方がありがたい。
5:35
今日の先頭は、坪井さん。道路を渡り尾根に取り付くが、いきなり密薮の急登。
笹につかまりながら登る。しかし、密薮も30m程で終わり、歩きやすい路になる。
日本山岳会の記録や、上野信弥の「関東ぐるり、、」では、密薮とされているところが
随所にあるが、今回、ほとんどの場所は特段の苦労なしに歩くことができた。
県境尾根、分水嶺歩きが、ひそかなブームになり歩く人が増えていることもあろうが、
鹿害か、なんらかの理由で笹の勢いが弱まってしまっているようだ。
6:18
間もなく、ぶどう岳への登りになるが、いきなり正面に岩峰が現れた。
正面を登るか、サイドから攻めるか、大きく巻くか、全員でルートファインディングをする。
どれが、正解というルートはない。道のルートの山歩きで一番楽しい瞬間だ。
僕はサイドからの山本ルートで登った。
6:27
ぶどう岳山頂。山頂はなだらか。この後も、気持ちのよい枯れ葉の道が続いている。
7:10
尾根の分岐に差し掛かり、方向をたしかめる。しかし、尾根の方向と地形が合わない。
GPSで確認すると、ポイント22から間違った尾根を下ってしまったようだ。
あまりにも気持のよい路、岩峰を通過した安心感から分岐で地図を見ずに、
思い込み判断をしてしまったのが原因だ。確認するのを忘れてしまっていた。
いくら歩きやすくても、道のルート。分岐での包囲確認は基本の基本。
下りに7分、登り返しに10分のロス。
7:35-46
1628で小休止。この先も、歩きやすい道と、小さな岩峰がかわるがわる現れる。
そのたびに、適切なルートを探しながら進んでいく。
8:19-35
新三郎。八ヶ岳、御岳の眺めが良い。慎重に下りる尾根を同定する。北斜面では
落ち葉の下が凍っているところが多く。凍結場所をトップから伝令しながら、
慎重に下っていく。
9:07-17
広い草地を過ぎると、林道があらわれ、お地蔵さんがある栂峠に出る。
林道を歩きたい誘惑を振り切り、尾根伝いの道を登っている。
小ピークの先、Kさんの地図つきGPSは、いったん大きく下って、
登り返す尾根を示していたが、易きに流れて歩きやすい尾根を下って、
先ほどの林道に下りる。林道を歩いて回り込むと、先ほどの尾根の鞍部で
林道が分水嶺となる。ポイント27で、林道が尾根を外れて、右に
トラバースする。尾根上にも、踏み跡はあるようだったが、尾根からの
乖離が50m以内、という理屈をつけて、ポイント28まで林道歩きをする。
9:52
林道が分水嶺とクロス。
10:08
ポイント29で林道とお別れして、忠実に尾根を歩く。
10:15-20
1626ポイント。ここは、90以上の角度で尾根を曲がるポイント。
ここでは、GPSに頼らずに、地図とコンパスで尾根を同定する。
方位140の尾根を確認して下る。
10:29
ここも間違いやすいポイント。朝、一度ルートを間違えた経験を活かして、
みんなでルートを確認しながら、正確に分水嶺の尾根を歩いて行く。
10:41-50
山行の終わりを前にして、最後の休憩。12:00にタクシーの予約を入れる。
すぐわきを通る林道を横目に尾根を登っていく。
10:56
天望山分岐。マイクロウェーブの中継塔がある。ここから先、密薮があるとの
情報で覚悟をきめて北斜面に挑む。落ち葉の下が凍っていて滑りやすいが、
ヤブと呼ぶような道ではなかった。小さなこぶを越えると、下に舗装道が
見えてきた。
11:22
十石峠到着。ここでも峠を越えてきたライダーに写真を撮ってもらう。
しっかりをストレッチをして、荷物をまとめたところに、ちょうど、
タクシーが来た。
臼石荘に寄る。もともとは町営の施設だったが、今は民営らしい。
¥400で風呂にはいる。法事の懐石のお客や、カラオケを楽しむ人など
それなりににぎわっていた。食堂でビールで乾杯。ざるそばを食べる。
ふたたびタクシーで海瀬駅へ。どこに、駅があるの?という停車場。
小海線では、気持ちよく転寝。
臨時の快速電車、ビューやまなしで、もう一度、乾杯。