近郊の日帰り冬山登山の安全
(1)雪道の歩行
    @靴は革製が良い。布製のコンビネーションの靴は柔らかいのでアイゼンのバンド
      の締め付け過ぎになり、足の血行が悪くなる場合がある。
    Aアイゼンは必須 6本または8本爪。アンチスノープレート付き。12本爪は初心者
      は避けた方がよい。
      アンチスノー付きでない場合は、厚手のビニール(米袋)を靴の裏に刺し、ハサミ
      で形を整えて使用する。)
    Bアイゼンを購入したら実際に山で使用する前に、自宅で事前に装着して、アイゼン
      の幅や後ろの引っかける紐の長さなどを調整をすること。
      アイゼンは新聞紙を敷けば、部屋の中でも履くことができる
    C歩き方は靴の裏を全面地面に付け、全面地面から離す(フラット フッティング)。
      がに股気味に歩く。そうしないと自分の足のスパッツなどに引っかけて転倒の
      可能性あり。
    D雪が薄くて岩に直接アイゼンが当たると、滑って転び、負傷の可能性あり。
      気を付けること。
    E雪崩には気を付ける。傾斜が25−40度の斜面の側を通るときには、注意。
      特に沢筋を歩くときは注意。
    Fアイゼンは山小屋に着いたら小屋に入る前にはずすのがマナー。アイゼン
      を付けたまま山小屋に入らない。

(2)寒さ対策
    @なるたけ直接皮膚を大気に触れないようにする
     手袋、帽子、耳当て等、目ダシ帽までは不要
    A服装は重ね着をし、暑くなれば脱ぐ、寒くなれば着る。こまめに着たり、
      脱いだりする。
      冬山での汗は大敵。歩行中に次の休憩では脱ぐとか、あらかじめ考え
      て歩くこと。
    B雨とみぞれで体が濡れると、体が非常に消耗する。完全防水の雨具を準備する。
    C冷たい飲み物はなるたけ取らない。冷たい飲み物はエネルギーを無駄に消費する。

(3)凍結した山道
    @雪・霜柱は日中融けて夜間凍結する。凍結したところは黒っぽく見え、氷とは見えない
      ので注意が必要。
      落ち葉の下が凍っている場合が間々ある。凍結しているように見えない場合でも
      凍結を常に頭の中に入れて歩く。特に北斜面は凍結している可能性が大。

(4)ビバーク
    @冬の日暮れは早い、ちょっとした道迷いなどでも暗くなり、ビバークの可能性がある。
     ツェルト、ガス/コンロ、コッヘル、飲料用水/湯は必須である。
     ツェルトの中で座れば4人は大丈夫、人数に応じてあらかじめパーティで共同装備
     として準備する。ビバークする場合は、着る物はすべて来て、一夜を明かす。
     新聞紙なども必須。
(5)天気
    @天気の悪い場合、悪くなる可能性があれば山に登らない。これが大原則である。
     事前に天気予報を十分注意して聞くこと。


[冬山の楽しさ]
 @空気が澄んでいるので遠くまでよく見える。山座同定がし易い
 A動物(の足跡)が夏は見えなくても冬は見える
  いたち、うさぎ、たぬき、狐、おこじょ等の足跡を雪面に見ることができアニマル
  ウォッチングを楽しむことができる。
 B新雪の上を歩くのは爽快である。
 C霧氷を見ることができる。10時前までに高いところへ着いていなくてはならない。
  大倉を7時前には出発すると花立付近で見ることが出来ることもある。しかし天気
  が晴れて空が青いときれいだが曇っているときれいには見えない。


・登り始めの1時間はユックリ・ユックリ(息がハアハアしないように)歩きましょう。
 下りもユックリ歩き(ユックリ歩くと筋肉を傷めません)、30分毎に5分程度の休憩を
 取りましょう。
・食事(特に朝食はシッカリ食べましょう)と水分と夜の睡眠は十分にとりましょう。

ゴミ、落し紙(トイレ使用時の紙)は小さなポリ袋に入れて持ち帰りましょう。
・登山道周辺の植生保護のため、登山道を外れて歩かないようにしましょう。
・山の動植物をとらないようにしましょう(とるのは写真だけ、置いてくるのは足跡だけ)
・寄ってくる鹿などに餌を与えてはいけません(生ゴミは餌になるので持ち帰りましょう)
・登山道を傷つけないために、ストックの石突にはゴムキャップをつけて使用しましょう。


歩き方は足裏全体で地面へフラットに、音を立てないように着地することが基本です。
・歩幅は狭く(半歩ぐらい)、左右は肩幅ぐらい開いて上体を立てて歩きましょう。
・靴擦れしそうな個所にあらかじめ、紙製ガムテープか、テーピングテープを貼ると予防
 ができます。
・足がツリそうになったら、少し休みをとり、腰から下(下肢)のストレッチ運動をしましょう。
 (完全にツッてからでは手遅れとなり、行動予定が狂います)
・「ヘッドランプ」、「雨具」、「地図とコンパス」は必ず持っていきましょう(安全登山の
 必携品)
・迷いそうな登山道の分岐点では地図とコンパス(磁石)で進行方向を確かめましょう。

今年の冬は各地で大雪が降り、残雪もかなり多いと考えておいた方がよさそうです。
 いつもの春以上に、雪道歩きへの備え(アイゼン、ストック)が必要です。
・昔から「春に三日の晴なし」といわれるように、春はほかの季節に比べ天気の変化が
 速いのが特徴です。高速度でやってくる低気圧は日本付近で発達し、大荒れの天気
 になります。(出かける時は晴れていても、雨具は持っていくと安心です)